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ここ最近、見た映画の簡単な感想。
純喫茶磯辺。東京ソナタ。HENRY。グラントリノ。
純喫茶磯辺。主演、宮迫博之・仲里依紗。仲里依紗が非常に好演だった。聞くところによると、「時をかける少女」の主人公役の声優をやっていたらしい。劇中でのナレーションを仲里依紗さんが担当していたが、個人的には声だけの演技のほうが好きだった。若い女性の声なのに、低く深く落ち着いた印象がある。
作品自体は、「日常のなかの非日常」型。いつもと少し違う毎日が訪れ、そしてまたいつもと同じ毎日へと回帰していく。特に何も変わっていないはずなのに、終わるときには、確かな心情の変化と成長が描かれている。という、地味だけど心に残る作品。
ちなみに、監督は机のなかみ(主演:あべこうじ)という映画と同じ監督。机のなかみ・純喫茶磯辺のどちらにも共通していることには「主演が芸人」「女性キャストが知名度が低いのに、演技が巧み」「日常のなかの非日常型の作品」という部分があった。
東京ソナタ。主演香川照之。香川照之の演技の幅の広さが伝わりすぎて、ビビる。家庭内での乱暴者っぷりが、うちの父親そっくりだった。端役で役所広司が出てきたのに、驚いた。というより、役所広司の必要性がない。盛り上がる部分がないのに、飽きない、という不思議な映画だった。おもしろくは、ない。
HENRY。実在したシリアルキラー(連続殺人犯)、ヘンリー・リー・ルーカスを描いた映画。
起承転結の波はあったが、作劇的な工夫はそれほどされていないように感じた。人を殺しているのは普通に描いているだけ。「こいつらは異常だ」というようなメッセージもない。被害者への憐憫もない。特に意味もない殺人と、その殺人犯の日常。映画なので、事実とは細部で異なっているんだろうけれど、こういう有名な殺人犯がいたんだ、という事実を知れただけで収穫のある映画だった。
グラントリノ。主演・監督クリント・イーストウッド。愛する妻に先立たれた老人。その老人の宝物である愛車グラントリノがタイトルの由来。グラントリノはあくまでも作中では、人と人をつなぐアイテムの1つという演出に使われており、最も重要な部分ではないように感じた。どこの先進国でも、年配者を軽んじる若者の姿は似ている。そして、素行のよくない少年たちの服装というのも、類似している。そして人と人を結ぶものも、似ている。多分、同じテーマで作られた邦画もいくつかありそうだ。
努力や協調で世界が変わる、という面と、全てのことが思い通りに運んでいるわけではない、という現実味も良かった。